Webアプリなどで使われるAPIキーとシークレットとは?
どうやって管理すればいい?
APIキーとシークレットについて分かりやすく解説
「APIキー」と「シークレット」はともにアプリケーションやユーザーを識別する重要な情報です。本記事では「APIキー」と「シークレット」について、安全な保管方法を分かりやすく解説いたします。
目次
「APIキー」と「シークレット」とは何?
APIキー(API Key)とは
APIキーとは、アプリケーションやユーザーを特定するために用いられる「認証用の鍵」です。
Webアプリなどが外部サービス(例:Google Maps API、Twitter API など)と連携する際、「誰が」「どのアプリから」アクセスしているかを確認する目的で利用されます。
主な役割:
- アプリケーションやユーザーの識別(アクセス元やアクセス者を確認)
- 利用制限の管理(アクセス回数や機能制限)
- 不正アクセスの防止(認証がないと使えない)
シークレット(シークレットキー / Secret Key)とは
シークレットキーは、APIキーと組み合わせて使用する「秘密の認証情報」です。
APIキーが「ユーザー名」に例えられるなら、シークレットキーは「パスワード」に相当します。
特徴:
- 公開してはいけない(外部に漏れると不正利用される)
- 通常はサーバー側だけが保持
- APIリクエストの署名や暗号化通信に使われる
例:
OAuth認証などでは、
- Client ID(公開可能)
- Client Secret(非公開)
のようにペアで管理します。
なぜAPIキーやシークレットを保護する必要があるのか?
APIキーやシークレットは、システムへのアクセスや他サービスとの連携を許可する「認証・認可情報」としての役割を持っています。万が一、第三者にこれらが漏洩すると、その人物が正規ユーザーや正規システムのふりをしてシステムを自由に操作することが可能になってしまいます。正規の操作を偽装しているため、システムのログから不正を検知することも難しいです。
つまり、不正ログインや不正利用を防ぐためにも、APIキーやシークレットの厳重な管理と保護が必要不可欠なのです。
漏えいによって発生するリスクと被害例
- 不正アクセス:攻撃者がシステムやデータに侵入し、情報を閲覧・操作できる。
- 不正請求・コスト増加:有料APIを不正利用され、高額な利用料が発生。
- サービス停止:リソースを大量に消費され、正規ユーザーが使えなくなる。
- 機密情報漏えい:連携先のユーザーデータや内部情報が流出する。
- 信頼・法的リスク:利用規約違反、顧客や取引先からの信用失墜につながる。
APIキーやシークレット情報の安全な管理方法
APIキーやシークレット情報は、外部サービスや内部システムと安全に通信するために使われる重要な認証情報です。万が一これらが漏洩してしまうと、攻撃者による不正アクセスのリスクが高まるため、細心の注意を払って厳重に管理する必要があります。
管理方法
環境変数で管理
WebアプリでAPIキーやシークレットを扱う場合、コードに直接書き込まず、環境変数(Environment Variables)として設定しましょう。
例:.env ファイルに記載し、その .env ファイルを .gitignore に追加することで、Git などにコミットされないようにします。
!注意!
一度でもGitHubなどにアップロードしたファイルは、たとえ変更や削除を行ったとしても変更履歴から取得される可能性があります。
APIキーやシークレットを含むファイルは、必ず.gitignoreに追加して管理しましょう。
シークレットマネージャーを利用
クラウド環境では、専用サービスの利用が最も安全です。代表的なサービスには以下のようなものがあります。
- AWS Secrets Manager
- Google Secret Manager
- Azure Key Vault
- HashiCorp Vault
いずれのサービスも暗号化・アクセス制御だけでなく、後述する自動ローテーションにも対応しています。
アクセス制御を厳密に
認証情報へのアクセス権限を最小限にする(最小権限の原則)。
例:開発者・アプリケーション・CI/CDパイプラインなど、必要な範囲だけに限定。
暗号化ストレージを利用
ファイルやDBに保存する場合はAESなどで暗号化して保存。
鍵管理も別システム(KMS:Key Management Service)で行う。
APIキーやシークレット情報のローテーションとは?
ローテーションとは、APIキーやシークレットなどの認証情報を定期的に新しいものへ更新し、古い認証情報を無効化する運用のことを指します。定期的に鍵を入れ替えることで、万が一情報が漏洩した場合でも、その被害を最小限に抑えることができます。
ローテーションを行う目的
- 漏えいリスクの低減:万が一キーが流出しても、短期間で無効化されるため被害を防げる。
- 不正利用の早期検知:新旧キーの利用状況を監査する過程で異常アクセスを発見できる。
- 安全なライフサイクル管理:キーの発行から廃止までを明確にし、管理の抜け漏れを防ぐ。
ローテーションの一般的な手順
1.新しいキーを発行する
- 現在使っているキーと同じ権限で新しいキーを作成。
- この時点では旧キーもまだ有効。
2.アプリや設定を更新する
- 新しいキーをアプリケーションや設定ファイルに反映。
- 並行稼働期間を設けてもOK。
3.旧キーを無効化する
- 新キーの動作を確認後、古いキーを削除または失効。
4.ログ監査を行う
- 旧キーが使用されていないか確認し、異常アクセスがないかチェック。
ローテーション運用の注意点
- 同時期に複数キーを保持しない:古いキーが残ると攻撃対象が増える。
- ログ監視を忘れない:ローテーション後に旧キー使用がないか確認。
- 自動化時はテスト必須:誤削除でサービス停止のリスクあり。
- 環境ごとにキーを分離:開発・本番などで同じキーを使わない。
クラウドサービスが提供するシークレットマネージャーは、キーの自動ローテーション機能を備えている場合が一般的です。
APIキーとシークレットは「コードに記述しない」ことと「安全な専用保管庫での管理」が基本です。また、定期的なローテーションの実施と最小権限設定によって、不正利用リスクを最小限に抑えることができるでしょう。特にクラウド環境では、シークレット管理サービスの利用が強く推奨されます。
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