IoTデバイスとは、「Internet of Things(モノのインターネット)」に接続されるさまざまな機器を指します。本記事では、主に家庭で利用されるIoTデバイス(特にスマート家電)について、その基本的な仕組みやセキュリティ上の注意点、対策方法などをわかりやすくご紹介します。
目次
IoTとは、「Internet of Things(モノのインターネット)」のことです。
つまり、IoTデバイスとは従来インターネットに接続されなかった「モノ」(家電やセンサー、車、機械など)が、ネットワークを通じて情報をやり取りできるようにしたデバイスです。
IoTデバイスは、大きく分けて 「データを集める → ネットワークで送る → 処理・分析する → 制御や通知に活かす」 という流れで動作します。
IoTデバイスには センサー が搭載されており、周囲の状況を取得します。
例:温度センサー、加速度センサー、GPS、カメラ、心拍センサー など。
取得したデータは 無線通信(Wi-Fi、Bluetooth、LTE/5G、LoRaWAN など)でクラウドやゲートウェイに送られます。ゲートウェイ(中継装置)は、センサーや小型デバイスからのデータを集約し、インターネットに転送する役割を持つこともあります。
データはクラウドやエッジコンピュータで処理されます。
分析結果に基づいて デバイスに指示が返される、または 利用者に通知が届く。
例:
センサー(データ収集)
↓
通信(Wi-Fi / 5G / Bluetooth)
↓
ゲートウェイ or クラウド(処理・分析)
↓
アプリや制御機器に結果を反映(通知・動作)
(例)上記の流れを、家庭で使用されるスマートエアコンで当てはめると、
となります。
ここでは、スマート家電などの家庭で使われるIoTデバイスを利用する際に気をつけたい主なセキュリティリスクと、その対策方法についてご紹介します。
多くのIoT機器は共通の初期パスワードで出荷されていますが、そのまま使用すると外部から不正にアクセスされるリスクが高まります。必ず、英大文字・小文字・数字・記号を組み合わせた強力なパスワードに設定しましょう。
IoT機器の脆弱性は日々新たに見つかり、アップデートによって修正されています。更新を怠るとリスクが高まるため、「自動更新」を有効にし、通知が届いた際は速やかにアップデートを行いましょう。
ファームウェア:IoTデバイスを動かすための基盤ソフトウェアで、
といった機能を提供。
ファームウェアのアップデートを行う際は、必ず公式から配布されているものを適用するようにしましょう。
PCやスマホと同じWi-FiにIoT機器を接続すると、1台が侵入されたときに他の端末も危険にさらされてしまいます。そこで、「ゲストWi-Fi機能」を活用して、IoT機器専用のネットワークを分けて作ると、より安全に利用できます。
外出先からの遠隔アクセス機能は便利な一方で、使用しない場合はセキュリティ確保のためにオフにしておきましょう。必要なときだけ有効にするのが安心です。
極端に安価な製品は、セキュリティ対策やアップデート体制が不十分な場合があります。信頼性が高く、長期的なアップデートを提供しているメーカーの製品を選ぶようにしましょう。
IoT機器を操作するスマホアプリが「位置情報」や「連絡先」など必要のない情報へアクセスしていないかを確認し、不要な権限は無効に設定しましょう。これにより、プライバシーをより安全に保てます。
使わなくなった古いIoT機器やスマート家電をそのままインターネットに接続し続けるのは危険です。利用しない機器は電源をオフにするか、Wi-Fiから切断しておきましょう。
この3つを守るだけで、家庭でのIoTセキュリティは大幅に強化されます。
家庭内で利用されているスマート家電やルーターなどの機器は、インターネットに常時接続されているため、外部からのサイバー攻撃を受けるリスクがあります。ここでは、家庭で実際に発生しうるサイバー攻撃の被害例についてご紹介します。
Wi-Fiルーターの場合
狙われ方:
起こり得る被害:
ネットワーク対応カメラ(赤ちゃんやペットを見守るカメラなど)
狙われ方:
起こり得る被害:
スマートスピーカー(Amazon Echo / Google Nest など)
狙われ方:
起こり得る被害:
スマート家電(エアコン、冷蔵庫、洗濯機など)
狙われ方:
起こり得る被害:
スマートドアロック
狙われ方:
起こり得る被害:
家庭で想定される被害まとめ
プライバシー侵害:カメラ・スピーカーから盗聴・盗撮される
金銭的被害:スマートスピーカー経由で不正購入、電気代増大
生活の安全侵害:ドアロックが勝手に開けられる、エアコンや家電が不正操作される
外部攻撃への加担:家庭のIoT機器がボット化し、知らない間に大規模サイバー攻撃に利用される
家庭内で使用されるIoT機器には「家庭内の安全性」と「外部に与える影響」の両面でリスクが存在します。家庭でできる対策としては、「パスワードの変更」「定期的なファームウェアのアップデート」「ネットワークの分離」の3つを実践するだけでも、多くの攻撃を防ぐことが可能です。
特に、IoTデバイスのファームウェアは「機能の中核」であり、同時に「セキュリティの最重要ポイント」でもあります。万が一デバイスに新たな脆弱性が発見された場合、メーカーはその対策としてファームウェアのアップデートを提供します。ご家庭でも、IoTデバイスのファームウェアは常に最新バージョンに保つよう心がけましょう。