プロビジョニングとは
メリットや種類、注意点について分かりやすく解説
プロビジョニング(provisioning)とは、ITやクラウドの分野でよく使われる用語で、「必要なITリソースを必要なときに準備・割り当てを行い、管理するプロセス」を指します。本記事ではプロビジョニングについて、そのメリットや種類、注意点について分かりやすく解説します。
目次
プロビジョニングの目的とメリット
プロビジョニングとは、必要なITリソースを必要なときに準備・割り当てることです。
これには以下のようなメリットがあります。
リソースの最適化:必要なリソースを必要なタイミングで用意することで、ムダや不足を防げる。
コスト効率の向上:不要なリソースを持ち続けなくていいので、コスト削減につながる。従量課金制であることが多いクラウドサービスでは特に効果が大きい。
スケーラビリティ:ユーザー数やアクセスが増えたときにも、自動でリソースを増やせる(Auto Scalingなど)。
可用性の向上:リソースの切り替えや再配置が簡単なので、障害時の対応がしやすい。
開発スピードの向上:新しい環境のセットアップがすぐ行えるので、開発やテストのスピードが上がる。
自動化・効率化:Infrastructure as Code(IaC)などと連携して、自動でリソースを準備・削除できる。これにより手作業を減らせる。
柔軟性:プロジェクトや環境ごとに、リソースの構成を簡単に変えられる。
プロビジョニングの種類
プロビジョニングには、目的や使い方に応じていくつか種類があります。それぞれ特徴があるので、状況や業務の形態によって使い分けるのがポイントとなります。
静的プロビジョニング:リソース使用の予測に基づいて、あらかじめ必要なリソースを手作業で用意しておく方法 。
(特徴)安定しているが柔軟性が低い。
動的プロビジョニング:クラウドサービスで主流な手法であり、必要なタイミングでリソースを自動的に追加・削除する方法。
(特徴)柔軟性と拡張性が高く、コスト効率も高い。
セルフサービス型のプロビジョニング:ユーザー自身がGUIやポータルからリソースを選んで用意する方法。
(特徴)知識を持つ開発者向けの形式であり、自由度が高く、素早い環境構築が可能。
自動化したプロビジョニング:スクリプトやツールなどでプロビジョニングを自動化する方法もあります。
(特徴)プロビジョニングを自動で行うため、作業ミスが減らせる。また、IaC(Infrastructure as Code、コードでインフラを定義・管理する仕組み)との相性が良い。
クラウドプロバイダによるプロビジョニング: クラウドプロバイダが提供する仕組みを使ってプロビジョニングを行う方式です。
(特徴)柔軟性、拡張性、可用性などいずれも高く、運用も容易。
シン・プロビジョニング:ストレージリソースを仮想的に割り当てる技術で、実際に使われる分だけ物理容量を消費する方式です。
(特徴)「必要なときに必要な分だけ使う」というストレージ管理技術で、コスト削減と運用効率の両立を実現できる。
プロビジョニングを行う際の注意点
過剰・過小のプロビジョニングによるリスク:リソースを使いすぎればコストが増大し、リソースが足りなければパフォーマンスの低下につながります。
(対策)リソース使用状況を定期的にモニタリング&調整が必要。
セキュリティ対策の不足:自動化されたプロビジョニングの場合、その過程で、アクセス権限の広いリソースを誤って作成してしまう可能性があります。
(対策)IAM(アクセス管理)やネットワーク制御をしっかり設計しておく。
リソースのスプロール(スプレッド):放置された仮想マシンやストレージが増え、管理不能になる可能性がでてきます。
(対策)使用期限・自動削除ポリシーの設定が重要。
コストの見積もりが難しい:動的プロビジョニングの場合、使用するリソースがその都度増減するので、月の使用量とそれに伴う請求額が予測しにくいのが難点です。
(対策)コストアラートや予算設定ツールの活用をする。
自動化スクリプトの信頼性:自動化するために作成されたスクリプトでのコードミスが、本番環境の崩壊につながる可能性があります。
(対策)テスト環境で十分な検証を行う。
チーム間の連携が必要:インフラチームと開発チームで認識のズレがあると、無駄なリソースや競合が発生する可能性があります。
(対策)IaCを使った共通管理とドキュメント整備を行う。
プロビジョニング時間の考慮: 一部のリソースは起動までに時間がかかるものもある。
(対策)SLA(サービスレベル合意)に影響しないよう設計を工夫する。
現代のITシステムは、ユーザー数の増減やアプリケーションの負荷変動に対応するため、柔軟かつスピーディなリソース管理が求められます。その為、プロビジョニングは、現代のシステム設計・運用において不可欠な要素となっており、特にクラウド環境においては、その自動化・柔軟性を最大限に活用することで、ビジネスの俊敏性とコスト最適化を同時に実現できます。これにより、競争力あるIT戦略の基盤として、ますます重要な役割を担っていくでしょう。
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