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RAIDとは? 代表的な構成のRAID0、RAID1、RAID5について分かりやすく解説

作成者: 河崎純真|2025/01/29 1:36:02

RAIDとは?
一般的に使用されることが多い、「RAID 0」「RAID 1」「RAID 5」の構成と、その利点と欠点、使用用途について分かりやすく解説

RAID(Redundant Array of Independent Disks)とは、ハードディスクの冗長性とパフォーマンス向上を目的とした技術です。具体的には、ハードディスクを複数台用意することで、データを分散して保存することで高速な読み書きを実現したり、データの耐障害性を高めることを目的とした技術になります。

RAIDには構成パターンの分類として、「RAID 0」,「RAID 1」,「RAID 2」,「RAID 3」,「RAID 4」,「RAID 5」,「RAID 6」の型があります。この記事では一般的に使用されることが多い、「RAID 0」,「RAID 1」,「RAID 5」の三つの構成についての特徴やメリットを分かりやすく解説します。

目次

 

RAID 0(データ転送速度を重視した構成)

ストライピングと呼ばれる、RAID 0 の特徴についてまとめます。

  • 特徴:ストライピング(Striping)
    • 必要なハードディスクは最低2台。
    • データを保存する際は、データをブロック単位に分割して、複数のディスクへ並列に保存する。
    • 保存されたデータを読み込む際も、複数のディスクに並行してアクセスする。
    • 冗長性は無し。
  • 利点:複数のハードディスクに同時並行でアクセスできるので、読み書き速度の向上が狙える(データ転送の高速化)。また、冗長性がないため、ディスクの使用効率はRAIDの中で最も高い。
  • 欠点:冗長性がない。よって、ハードディスクが1台でも故障すると、データ全体が失われるため、信頼性が低い。
  • 用途:読み書きが高速であるため、パフォーマンスが最優先される用途に向いている。
    (例: 一時データ、非重要データ)

 

RAID 1(耐障害性を重視した構成)

ミラーリングと呼ばれる、RAID 1 の特徴についてまとめます。

  • 特徴:ミラーリング(Mirroring)
    • 必要なハードディスクは最低2台。
    • 同じデータを複数のディスクにコピーして保存する。
  • 利点:同じデータが別々のハードディスクに保存されるため、片方が故障してもデータは失われない。高い冗長性と信頼性を誇る。
  • 欠点:全体としてみるとハードディスクの使用効率が低い(2台での構成なら50%の使用効率)。また、データ転送速度は、ハードディスクが1台構成の時と変わらない。
  • 用途:高い冗長性と信頼性を持つので、データ保護が最優先される環境に向いている。
    (例: 重要なログファイル、金融データ)。

 

RAID 5(バランスの取れた構成)

バランスの取れた構成であるRAID 5 の特徴についてまとめます。

  • 特徴:ストライピング+パリティ(Striping with Parity)
    • 必要なハードディスクは最低3台。
    • データを分散して複数のハードディスに保存するとともに、保存したデータを復元するためのパリティデータも分散して複数のハードディスクに保存。
    • ハードディスクが1台故障しても、他のディスクに含まれるパリティ情報からデータの再構築が可能。
  • 利点:ストレージの高い使用効率と冗長性のバランスが取れている。
  • 欠点:パリティデータを分散して保存するため、データ復元に時間がかかる。また、同時に2台以上のハードディスクに障害が発生した場合はデータ復元ができない。
  • 用途:バランスが求められるサーバ環境に適している。
    (例: データベース、ファイルサーバ)

 

RAID 0 と RAID 1 を組み合わせた構成

• RAID 0はデータ転送速度に優れるが、耐障害性が低い。
• RAID 1は耐障害性に優れているが、データ転送速度が高くない。
この2パターンの利点を同時に生かしつつ、欠点を補えるように、RAID 0と RAID 1を組み合わせた構成もあります。この構成では、最低でも4台のハードディスクが必要となります。

RAID 0+1 (RAID 01)
RAID 0の形式(ストライピング)で構築されたものを、ミラーリングするパターンです。
RAID 0の欠点であった、「1台のハードディスクの故障でデータ全体を失う」を、ミラーリングを組み合わせることで克服します。

RAID 1+0 (RAID 10)
まず、RAID 1の形式(ミラーリング)で構築します。そして、各ハードディスクのそれぞれでストライピングを行います。
RAID 1の欠点であった、「データ転送速度を高められない」を、ストライピングを組み合わせることで克服します。

RAID 01とRAID 10を比較した場合、データ転送速度は変わりませんが、耐障害性においてはRAID  10の方が優れているため、RAID 10を使う方が適切です。

 

企業の業務においては、データの安全な保存や高速な読み書きは重要です。それらを実現するためのハードディスク構成としてRAIDがあります。また、RAIDによる構成にはさまざまな形式があり、それぞれに明確な利点と欠点があります。その為、目的に応じた適切な構成パターンとその特徴を把握しておくことが必要となります。