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情報処理安全確保支援士の難易度と年収は? 過去問や試験の推奨勉強時間や資格の意味がないと言われる理由を解説

情報処理安全確保支援士の難易度と年収は?
過去問や試験の推奨勉強時間や、取得する意味がないと言われてしまう理由を解説

情報処理安全確保支援士は、日本国内におけるセキュリティ分野の国家資格です。本記事では、この資格の概要や試験難易度、推奨される勉強時間などについて分かりやすく解説します。

目次

 

情報処理安全確保支援士とは

情報処理安全確保支援士(略称:登録セキスぺ)は、経済産業省の管轄のもと、独立行政法人IPA(情報処理推進機構)が認定する国家資格です。IPAが(2025年6月時点で)実施する全13種のIT試験の中で、唯一「士」の称号が付く資格(いわゆる士業)につながる試験として位置づけられ、サイバーセキュリティの専門家としての知識と技能を有することを国が認定する国家資格です。

IPAが実施している試験の全体像

スクリーンショット (228)

(出典:IPA 公式サイト)

セキュリティ分野のおける試験は、以前は「セキュリティスペシャリスト」という名称で実施されていましたが、近年のセキュリティ環境の変化を受け、専門職として活躍できるよう士業へと改訂されたという経緯があります。

情報処理安全確保支援士(IPA)
https://www.ipa.go.jp/jinzai/riss/index.html

参考:情報処理の促進に関する法律(e-gov)
https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000090/20261122_507AC0000000043

 

情報処理安全確保支援士は、以下のようなセキュリティ業務に従事します。

  • セキュリティ対策の設計・運用
  • インシデント対応(サイバー攻撃への対応)
  • リスクアセスメント
  • セキュリティポリシーの策定支援
  • 経営層・ユーザーへのセキュリティ教育

など

 

情報処理安全確保支援士の試験、及び登録について

試験に関する詳細はIPA公式サイト(https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/sc.html)にて案内されています。

試験名:情報処理安全確保支援士試験(略号:SC)
実施時期:毎年4月、10月の年2回実施
難易度:IPAの実施する試験としては高度に該当
合格率:約15~20%程度
試験内容:サイバーセキュリティ、ネットワーク、暗号化技術、インシデント対応など

試験の概要(2025年6月時点)いずれも筆記形式

  • 午前Ⅰ(50分):高度試験共通のIT知識(マークシート形式)
  • 午前Ⅱ(40分):情報セキュリティ技術(マークシート形式)
  • 午後(150分):記述式問題

※情報処理安全確保支援士試験の午後Ⅰ、午後Ⅱという区分は令和4年度試験を最後に廃止され、午後試験は一つに統合されました。

 

情報処理安全確保支援士の登録

情報処理安全確保支援士試験に合格した後、所定の登録手続きを経て正式に資格を取得できます。

その後、資格を維持するためには毎年の講習受講と、3年ごとに集団での研修及び資格更新手続きが義務付けられており、常にサイバーセキュリティに関する最新の知識と技術を習得し続ける必要があります。

 

情報処理安全確保支援士試験の過去問や、試験の推奨勉強時間

試験の過去問題と解答は、他のIPA試験同様にIPA公式サイト内(https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/index.html)で公開されています。ただし、問題ごとの詳しい解説は掲載されていないため、学習を進める際は市販の参考書や解説書も併用すると効果的です。

また、情報処理安全確保支援士試験の合格に必要な勉強時間は、個人のITスキル・経験によって大きく異なります。一般的な目安としては以下の通りです。

  • 未経験・初心者‥300〜400時間    (ITパスポート・基本情報レベルから始める場合)
  • 基本情報処理技術者 合格者‥200〜300時間   ( IT基礎はあるがセキュリティ分野は未経験)
  • 応用情報処理技術者 合格者‥100〜200時間    (セキュリティの基礎知識あり、午後問題に重点)
  • セキュリティ実務経験あり‥50〜100時間   ( 実務でセキュリティ対応を行っている人)

 

午前Ⅰ・Ⅱ対策(マークシート形式)

午前Ⅰおよび午前Ⅱ試験は、過去問と類似した形式・内容の問題が出題される傾向にあり、繰り返し過去問演習を行うことが有効です。問題はマークシート形式で構成されているため、短時間でも効率的に学習を進められます。

午後試験対策(記述)

午後試験では、実際のインシデント対応を題材とした設問が多いため、セキュリティ事故や対応策の経緯・背景を正確に理解することが求められます。過去問の演習を通じて模範解答と自分の解答を比較し、記述のパターンやルールを体系的に身につけることが重要です。長文の読解や記述式解答が求められるため、体系的かつ計画的な学習時間の確保が不可欠です。

 

情報処理安全確保支援士の年収

資格単独での価値よりも、実務経験やスキル、職種・業界とのシナジーが重要です。たとえば、セキュリティ知識を持つ社内SEでは年収400万円前後が目安となりますが、セキュリティ分野のコンサルタントなど、より専門性が高い職種で実務経験を積めば、年収1,000万円以上を目指すことも可能です。

下の「情報処理安全確保支援士の資格が『取得しても意味がない』と言われる理由」でも解説していますが、セキュリティ業界においては何よりも実務経験が重視されます。年収向上を目指す場合は、様々な現場で経験を積み、実践的なスキルを高めることが最も重要です。

 

情報処理安全確保支援士の資格が「取得しても意味がない」と言われてしまう理由

資格取得までの道のりが座学のみ

現場のセキュリティ業務においては、実践的な経験が何よりも重視される傾向にあります。情報処理安全確保支援士の取得は主に座学を中心とした知識習得が主体となるため、資格取得のみでは現場で求められる即戦力となる実務スキルを養うことが難しい側面があります。

 

業務独占資格ではない:

情報処理安全確保支援士は名称独占資格に該当しますが、業務独占資格ではありません。そのため、資格を持たない方が「情報処理安全確保支援士」と名乗ることは違法ですが、資格保有者であっても特定の業務について法的な独占的権限や優位性が与えられるわけではありません。

 

企業にとって設置が義務付けられている資格ではない:

情報処理安全確保支援士は法令上、企業に設置が義務付けられている資格ではありません。しかし、情報処理安全確保支援士の資格を取得していることで、個人の専門性や信頼性、公的資格の証明として活用できます。

 

情報処理安全確保支援士は日本の情報セキュリティ分野で活躍する国家資格です。法的な独占業務が与えられるわけではないものの、資格を取得することで、個人の専門性や信頼性を証明することができ、さまざまな業界・職種においてセキュリティ担当者として歓迎されるでしょう。

 

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