評価尺度で用いられるSMARTとは?
構成要素やメリット、発展形などについて分かりやすく解説
SMARTとは、プロジェクトの目標設定や成果の評価を行う際に用いるフレームワークであり、5つの要素で構成されています。SMARTという呼称は、構成要素のそれぞれの頭文字を取ったものになります。この記事ではSMARTについて、構成要素やメリットなどについて分かりやすく解説します。
目次
SMARTの5つの構成要素
前述の通り、「SMART」という名称は、5つの要素の頭文字をとったものです。
S:Specific(具体的)
- 目標が明確で具体的であること。
- 曖昧な表現を避け、誰が、何を、どこで、いつ、なぜ行うかを明示する。
- 例:「売上を上げる」ではなく、「今期中にA製品の売上を10%増加させる」と具体化する。
M:Measurable(測定可能)
- 目標達成の進捗や成果が定量的に測定できること。
- KPI(重要業績評価指標)や定量的な基準を設定する。
- 例:「利益を5%増加」、「顧客満足度を80%以上にする」と数値化する。
A:Achievable(達成可能)
- 現実的で実現可能な目標であること。
- 過去の実績やリソース、能力や制約を考慮した上で設定する。
R:Relevant(関連性がある)
- 組織の目的やビジョンに整合していること。
- プロジェクトの目標が戦略的優先事項に寄与するかを確認する。
- 個人の目標についても、チームや会社全体の戦略と連動しているかを確認する。
T:Time-bound(期限がある)
- 明確な期限が設定されていること。
- 例:「来月末までに」、「今年度中に」
SMARTを用いるメリット
目標が明確になる(S:Specific)→ 抽象的な表現を避けるため、関係者全員が同じ目標イメージを共有できる。
進捗や達成度を数値で確認できる(M:Measurable)→ 成果が可視化され、客観的な評価や改善がしやすくなる。
現実的な目標でやる気が出る(A:Achievable)→ 無理のない目標設定で、達成感を得やすくモチベーションが高まる。
組織目標と連動している(R:Relevant)→ 個人の努力やチームの行動が全体の成果に直結し、組織全体の方向性と足並みが揃う。
期限が明確で行動につながる(T:Time-bound)→ ダラダラせず、計画的・戦略的に取り組むことができ、行動の優先度も付けられる。
結果として得られる効果:
- PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回しやすくなる
- チームや組織全体のパフォーマンス向上につながる
SMARTのデメリット
SMART評価には多くのメリットがありますが、万能ではなく注意すべきデメリットや限界も存在します。以下に主なデメリットをまとめます。
定量化が難しい業務に不向き:クリエイティブ職や企画職など、成果を数値化しづらい業務では、無理に数値目標を立てると逆効果になることもある。
短期的な目標に偏りやすい:期限内に成果を出すことに注力しすぎて、長期的な成長や創造的な活動が後回しになる可能性がある。
挑戦的な目標設定がしにくい:現実的な目標を重視するあまり、革新性や飛躍的な成果を狙いにくくなる場合がある。
変化への対応が難しい:期限や具体性を重視するため、状況が変わったときに柔軟に目標を調整しにくい傾向があります。
SMART評価の発展形
より柔軟で実用的な目標設定を実現するために、SMART評価の基本の5要素(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)に加えて、いくつかの要素を加えて拡張・発展させたものもあります。
SMARTER
SMARTに以下の2要素を追加:
E:Evaluated(評価される):進捗や成果が評価される。
R:Recognized(承認されている):上司からの承認を得られている。
特徴: 目標設定に上司からの評価と承認を加えることで、設定された目標と組織の方向性の一致に重点を置いている。
SMARTTA
SMARTに以下の2要素を追加:
T:Trackable(追跡可能): 目標に対する取り組みについて、その経過を追跡・把握できる。
A:Agreed(合意されたものである):メンバー間での合意されたものである。
特徴:メンバー間で現在の状況や進捗について把握し、情報共有を行うことに重点をおいている。
SMARRT
SMARTに以下の要素を追加:
R:Realistic(現実的): 目標が現実的である。
特徴:より現実的に達成可能な目標設定を置くことを目指す。
評価を行うフレームワークはさまざまあり、それぞれに長所と短所があります。その中でSMART評価は「分かりやすく実行しやすい目標」を立てるのに有効ですが、反面、「抽象的な目標や変化の多い環境」には対応しきれない面があります。SMART評価やその発展形だけにとらわれず、各方面から評価できるように、他のフレームワークも用いて補完できるようにしておくとよいでしょう。
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