Gftd Japan株式会社 / サイバーセキュリティ事業部 / 研究レポート

脆弱性診断サービスはどう選べばいい? 失敗したくない担当者の為に選び方のポイントを分かりやすく解説

作成者: 河崎純真|2025/10/27 1:38:37

脆弱性診断サービスはどう選べばいい?
失敗したくない担当者の為に選び方のポイントを分かりやすく解説

自社で運営しているwebサービスや社内ネットワークインフラの脆弱性診断を外部の専門企業に依頼することは、企業にとって重要なセキュリティ対策の一環となります。本記事では、脆弱性診断サービスを外部に依頼する必要性や、脆弱性診断サービスを選ぶ際のポイントなどを分かりやすく解説します。

目次

 

なぜ、脆弱性診断を外部の専門企業に依頼する必要があるのか?

脆弱性診断を外部に依頼する理由はいくつかあります。主な理由として以下が挙げられます。

専門知識と経験:脆弱性診断は高度な技術と知識を必要とします。外部の専門家やセキュリティ企業は、最新の脅威や攻撃手法について深い理解を持ち、豊富な実績を有しています。そのため、内部では対応が難しい最新の脆弱性や複雑な攻撃パターンにも対応できます。

第三者の視点:内部のスタッフでは気づかない脆弱性や問題が存在する場合があります。外部の専門家は新たな視点からシステムを検証でき、客観的かつ包括的な診断を提供してくれます。

リソースの不足:内部に脆弱性診断の専門家がいない場合、リソースが不足している可能性があります。外部に依頼することで、内部リソースの負担を軽減し、効率的に診断を行うことができます。

時間的制約:脆弱性診断には時間と労力がかかります。外部に依頼することで、診断を迅速に進めることができ、企業の運営に与える影響を最小限に抑えることができます。

コンプライアンスや規制への対応:特に金融業界や医療業界などの規制基準では、外部の第三者による脆弱性診断が必要な場合があります。これにより、規制やコンプライアンスの条件を満たすことができます。

継続的なセキュリティ強化:外部のセキュリティサービスは、定期的な診断や脆弱性スキャンを提供することが多いです。これにより、継続的にシステムを監視し、常に最新の脅威に対応できます。

 

脆弱性診断サービスを選ぶ際のポイント

脆弱性診断サービスを選ぶ際には、いくつかの重要な要素を慎重に考慮する必要があります。適切なサービスを選ぶことで、より効果的にシステムのセキュリティを向上させることができます。以下は、脆弱性診断サービスを選ぶ際のポイントです。

目的と範囲の明確化

  • 診断の目的を確認:脆弱性診断には、一般的なセキュリティスキャンから、ペネトレーションテストやリスク分析など、さまざまな手法があります。まず、自社の目的(例:特定の脆弱性を検出したい、コンプライアンス要件を満たしたいなど)を明確にし、それに合った診断サービスを選ぶことが重要です。
  • 診断の範囲を定義:診断の対象となるシステムやアプリケーションの範囲(例:Webアプリケーション、ネットワーク、クラウドインフラなど)を明確にすることが重要です。選定するサービスがその範囲に対応できることを確認しましょう。

 

専門性と経験

  • 特定分野での専門知識:脆弱性診断には、Webアプリケーション、ネットワーク、クラウド環境、IoTなど、特定の技術分野に特化した専門家が必要です。依頼先が自社のインフラや技術スタックに対する経験を持っているか確認しましょう。
  • 過去の実績:脆弱性診断を依頼する企業や専門家が、過去にどのような診断を実施しているのか、実績を確認することが大切です。特に、類似の業界や技術スタックにおける経験がある場合、信頼性が高まります。

 

認証と資格

  • 業界の認証と資格:脆弱性診断の専門家が、業界で認められた資格(CISSP、CEH、OSCPなど)を保持しているか確認することが重要です。これにより、診断を依頼するサービスが専門的な知識を持っていることを確認できます。
  • 第三者監査機関の認証:サービス提供事業者が、信頼性のある第三者監査機関による認証(例:ISO 27001など)を受けていることも、信頼性を高める要素です。

診断手法とツール

  • 使用する手法の確認:診断サービスがどのような手法を用いているか(例:ペネトレーションテスト、脆弱性スキャン、コードレビューなど)を確認することが重要です。診断手法が自社のニーズに合致しているかを確かめましょう。
  • 使用ツールと技術:外部の脆弱性診断サービスが使用しているツール(例:Nessus、Burp Suite、OWASP ZAPなど)や技術スタックに関しても確認しましょう。これらのツールは効果的に脆弱性を検出するために必要です。

 

透明性と報告書の質

  • 報告書の内容と品質:診断後に提供される報告書がどのような形式で、どの程度の詳細が含まれているかを確認することが重要です。脆弱性だけでなく、そのリスク評価、修正提案、優先順位付けが含まれている報告書が望ましいです。
  • 説明とサポート:診断結果を理解するために、専門家による解説やサポートが提供されるかも確認しましょう。特に、発見された脆弱性に対する対応方法を分かりやすく説明してもらえるサービスを選ぶことが大切です。

 

料金体系と契約条件

  • 明確な料金体系:料金が事前に明確であり、追加費用が発生しないか確認することが重要です。料金体系(時間単位、プロジェクト単位など)やパッケージプランに関する情報を事前に確認し、予算に合ったサービスを選びましょう。
  • 契約内容の確認:診断サービスを提供する際の契約条件(納期、報告書の納品、秘密保持契約など)を事前に確認し、リスクを最小限に抑えるために合意を取りましょう。

 

サポート体制とフォローアップ

  • 診断後のサポート:診断結果をもとに、脆弱性の修正や対策を行った後に再診断を依頼することができるか、フォローアップの体制を確認することが重要です。また、問題が発生した場合に迅速にサポートを提供してくれるかも重要なポイントです。
  • 継続的なセキュリティ強化:定期的な脆弱性診断や監視を提供するサービスがある場合、それを選択肢として考慮するのも良いでしょう。セキュリティは一度だけでなく、継続的な対応が必要です。

 

法的遵守とコンプライアンス対応

  • 業界の規制や標準に対応:依頼する診断サービスが、自社が属する業界の規制やセキュリティ標準(例:GDPR、PCI DSS、ISO 27001など)に対応しているかを確認します。特に、法的要件に準拠した診断が必要な場合、コンプライアンスに対応したサービスを選ぶことが重要です。

 

評判とレビュー

  • 過去の顧客のレビューやフィードバック:脆弱性診断サービスを提供している企業や専門家が過去にどのような評判を得ているか、他の顧客からのフィードバックやレビューを確認することも重要です。信頼できるサービスを選ぶために、実際の顧客の声を参考にしましょう。

 

実際に脆弱性診断サービスを受ける際の注意点

脆弱性診断サービスを行う企業を選んだあと、実際に脆弱性診断を受ける際には、いくつか注意しておくべき点があります。

契約内容を明確化しておく

  • 脆弱性診断を依頼する前に、契約内容を明確にし、双方の期待値を調整することが重要です。診断の範囲や目的、納期、費用について合意を得ておくことが必要です。
  • また、診断後の報告書の形式や、発見された脆弱性の優先度に関する合意も重要です。

 

情報の取り扱いに関する契約(NDA)を結ぶ

  • 脆弱性診断を外部に依頼する際、企業の重要な情報や機密情報が漏洩しないように、秘密保持契約(NDA)を結ぶことが推奨されます。
  • 診断を依頼するシステムに含まれる機密情報や個人情報を適切に扱うように、事前に確認しておくことが重要です。

 

実施中のリスク管理

  • 脆弱性診断を実施する際、特にペネトレーションテストなど攻撃的なテストが含まれる場合、サービスやシステムに影響を与える可能性があります。そのため、診断中の業務への影響を最小限に抑えるよう、診断の実施時期や手法に関して調整を行うことが必要です。
  • サービス停止やデータ損失のリスクを避けるため、テスト前にシステムバックアップを取っておくことを推奨します。
  • 業務への影響を避けるために、可能であれば、テスト環境で診断を実施することも視野に入れましょう。

 

法的・規制の遵守

  • 脆弱性診断の実施には、法律や規制の遵守が必要です。特に、個人情報を扱うシステムや金融機関においては、適切な認証を持った診断者に依頼することが求められます。
  • GDPRや日本の個人情報保護法、金融庁の規制に準拠したセキュリティ診断を行うことが重要です。

 

診断後の対応計画

  • 診断後に発見された脆弱性について、どのように対応するかを事前に考えておく必要があります。診断結果に基づいて、修正や改善をどのように実施するかの計画を立てておくと、迅速に対応できます。
  • 修正対応後に再診断を行うことも視野に入れるべきです。

 

診断結果の解釈と理解

  • 診断結果を受け取った際、その内容を十分に理解できるように、報告書の説明を求めましょう。外部の専門家が作成した技術的な報告書を理解するために、内製のセキュリティチームが関与することも重要です。
  • 発見された脆弱性に関して、どのようなリスクがあるかを理解し、優先順位をつけて対応することが求められます。

 

後続のサポート体制

  • 診断結果に基づいた改善策の実施後、必要に応じて後続のサポートや再診断を依頼できる体制を整えておくと良いです。
  • 外部業者が診断後に提案する改善策やリスク対策を、どのように継続的に実施していくかの計画も考慮する必要があります。

 

脆弱性診断サービスを選ぶ際には、自社のニーズに最適なサービスを選定することが重要です。目的や範囲を明確にし、専門的な知識を持った信頼できるサービスプロバイダーを選びましょう。その上で、診断結果を実際にどのように活用し、改善策を進めるためのサポート受けるといった、診断後の対応を適切に進めることが、さらなるセキュリティ強化へと繋がります。

 

弊社へのお問い合わせは、下記の著者画像横のメールアイコンから