セキュリティ施策としての「メディアマーキング」と「メディアラベリング」とは?
それぞれの特徴や違い、実施のメリットについて分かりやすく解説
セキュリティ対策における「メディアマーキング」と「メディアラベリング」は、いずれもデジタルメディアに情報を付与する点で共通していますが、その目的や方法、利用される場面には違いがあります。本記事では、それぞれの特徴や違い、実施のメリットなどについて分かりやすくご紹介します。
目次
セキュリティ対策としての「メディアマーキング」とは
セキュリティにおける「メディアマーキング」とは、USBメモリや外付けHDD、CD/DVDなどのリムーバブルメディアに対し、機密性や取り扱い区分などの情報を視覚的に表示し、メディアの安全な運用と監視を行う手法です。
メディアマーキングを行う目的としては、以下のようなものが挙げられます。
- メディアがどのような目的や分類で使用されているかを明確にする。
- アクセス権限や暗号化などと連携することでセキュリティ対策を強化する。
- コンプライアンスやセキュリティポリシーの徹底。
- 不正利用や情報漏洩のリスクを抑える。
メディアマーキングが活用できるシーンとしては、
- 機密情報のUSBメディアなどへの持ち出しを管理・制御する場面。
- 社内ファイルサーバからのバックアップやコピー操作を監視する場合。
- 個人データを外部に保存・持ち出す際の適切な管理。
- 従業員の退職や転職時におけるデータの不正持ち出しリスク対策。
などが挙げられます。
セキュリティ対策としての「メディアラベリング」とは
セキュリティにおける「メディアラベリング」とは、USBやDVD、外付けHDD、SDカードなどの記録メディアに対して、識別可能な情報(管理情報)をラベルとして物理的または論理的に付与し、適切に管理・制御するための仕組みです。ラベルにはセキュリティレベル、所有者、利用制限などの情報が含まれます。
メディアラベリングを実施する目的としては以下のようなものが挙げられます。
- メディアを扱う人が正しいセキュリティ対応をとれるようにする。
- 誤操作や紛失時のリスク軽減。
- ラベルに応じた使用制限・許可。
- 組織の規定に基づいた情報管理の徹底。
- ラベルに基づく操作ログで監査を効率化。
メディアラベリングは、より詳細な管理情報を付与するため、運用ルールや付与基準を事前に整備しておくことが重要です。
- 分類ルールの策定:ラベル名やその定義、具体的な運用・取り扱い方法を明文化する。
- 運用ルールと教育:ラベル付与の具体的手順や運用フローの整備、利用者への教育・周知、違反時の対応基準の策定しておく。
- 技術的実装:ラベル付与後は、DLPやIRM(情報権利管理)などのシステムと連携して、各メディアの管理や保護を強化することも重要。
メディアマーキングとメディアラベリングの主な違い
メディアマーキングとメディアラベリングはいずれも、記録媒体に保存された情報の機密性や重要度を明確にするセキュリティ対策ですが、それぞれ目的や実施方法に違いがあります。ここでは両者の違いについて整理します。
両者の比較まとめ:
項目 | メディアマーキング | メディアラベリング |
---|---|---|
目的 | セキュリティ区分の明示(機密性、取扱い制限) | 管理・識別のための個別情報の表示 |
対象情報 | 機密区分(極秘、社外秘など)、視覚的警告 | 管理番号、所有者、作成日時、バーコードなど |
内容の詳細度 | 抽象的・分類的 | 具体的・個別的 |
主な用途 | セキュリティ対策、取り扱い注意喚起 | 資産管理、追跡、棚卸、トレーサビリティ |
メディアマーキングとメディアラベリングの連携
「メディアラベリング」と「メディアマーキング」はそれぞれ異なる役割を担いますが、両者を組み合わせて運用することで、情報資産のセキュリティ向上と管理の精度強化が実現できます。ここでは、それぞれを効果的に連携・統合する方法について解説します。
連携が必要な理由
メディアマーキングやメディアラベリングは、それぞれ単体で運用した場合には機能や効果に限界があります。
- マーキングのみ:機密レベルは分かっても、誰が使っているか分からない → 管理・追跡が困難
- ラベリングのみ:詳細情報は分かっても、セキュリティリスク(機密性の高さ)が直感的に分かりづらい
そのため、両者の短所を補い合う観点から連携が求められます。連携することで、次のような効果を同時に実現できます。
- 機密区分の視覚的表示(メディアマーキングの特徴)
- 管理対象としての詳細情報表示(メディアラベリングの特徴)
実際に連携を行う際には、社内規定などで運用ルールを整備しておくことも必要になります。
連携した際の具体的なメリット
- セキュリティ強化:メディアに明示された警告表示と管理用ラベルによって、不適切な操作や取り扱いを抑制できる。
- 資産管理の精度向上:ラベルの内容と管理台帳を照合することで、確実な追跡管理が可能となり、廃棄や紛失リスクの低減も期待できる。
- 監査対応力の向上:機機密情報の取り扱い履歴を正確に記録・保存できる。
連携の運用例:USBメモリを情報資産として管理するケース
メディアマーキング:赤ラベルで「極秘」マークを貼付 → 視覚的セキュリティ分類
メディアラベリング:白ラベルに管理番号や作成日、作成した部署などを記載 → 管理情報を記載
一元台帳連携:上記ラベルの情報は管理システム(台帳)にも登録 → 棚卸・追跡が可能
メディアマーキングとメディアラベリングは、情報資産を守るための重要なセキュリティ施策です。これらの取り組みにより、紛失や誤用のリスク低減だけでなく、問題発生時の迅速な所在確認・対応も可能となります。
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