フィッシング攻撃とは、利用者をだまして偽の情報を入力させることで、ID・パスワード・クレジットカード番号などの機密情報を不正に入手する攻撃手法のことです。本記事ではフィッシング攻撃の最新手口や、偽メールや偽サイトの見分け方について分かりやすく解説します。
目次
不自然なメール・偽装メール:
偽のログインページへの誘導:
緊急性を煽る手口:
「アカウントが停止されます」「24時間以内に確認が必要です」「不正アクセスが検出されました」
→ のような文言を表示させることで利用者を焦らせ、冷静な判断をできなくさせる。
偽の請求・当選通知:
「未払い料金があります」「税金の還付があります」「懸賞に当選しました」
→ のような文言を表示させることで、個人情報、クレジットカード番号、銀行口座情報、暗証番号の入力を促す。
添付ファイル型:
金融機関や有名ブランドを装う:
銀行、クレジットカード会社、Amazon、Appleなど大手ブランドになりすます。
→ ユーザーの「信頼」を利用する。
従来のフィッシング攻撃は、「メールで偽サイトに誘導する」手法が主流でした。メールやサイトの文面が不自然であったり、送信元アドレスや偽サイトのURLに違和感があることが多く、これらの点に注意すれば比較的見分けやすいものでした。
しかし近年では、生成AIの普及や技術の進化により、フィッシング攻撃の手口がますます巧妙化しています。そのため、文章や送信元アドレス、URLだけでは見抜くことが難しくなってきています。
ここ数年でフィッシング攻撃の手口は非常に巧妙になっており、特に「正規サービスの悪用」と「二要素認証突破」、「メール以外からのフィッシング攻撃」が特徴的となっています。
生成AIを悪用した精巧なフィッシングメール:
正規サービスを悪用した誘導:
偽サイトにおいて、ブランドやドメインの高度な偽装:
QRコードフィッシング(Quishing):
スミッシング(SMSフィッシング):
SNS・チャットアプリ経由:
AitM(Adversary-in-the-Middle)攻撃:
AitM攻撃の流れ
偽サイトを、利用者と正規サイトのやりとりを中継するように設置。
↓
利用者をフィッシングメールから偽サイトに誘導し、IDとパスワードを入力させ、入力されたIDとパスワードを正規サイトのフォームに転送。
↓
正規サイトから利用者に対し、二要素認証のための認証コードが送信。
↓
利用者は偽サイトであることに気づかないまま認証コードを入力してしまう。攻撃者を認証コードを奪取し、リアルタイムでアカウントを奪う。
ビジネスメール詐欺(BEC)との組み合わせ:
最近のフィッシングメールは、これまでのような「不自然な日本語」ではなく、より精巧で本物そっくりの内容になっています。メール以外にもSMSやSNS、QRコードなど多様なチャネルが利用され、二要素認証さえ突破する手口も出てきました。クラウドサービスや公式機能が悪用されることで、正規の通信に見える点も特徴であり、従来よりも検知が難しくなっています。
項目 | 従来の手口 | 最新の手口 |
---|---|---|
メールの文面 | 不自然な日本語、誤字脱字が多い | 生成AIを利用し、自然でビジネスメール風の文章 |
送信元 | フリーメールアドレスなどの分かりやすい偽装 | 正規企業に似せたドメインや送信元偽装 |
リンクの偽装 | URLをそのまま記載、違和感のあるドメイン | 正規に似せたドメイン、短縮URL、QRコード |
誘導メッセージ | 「アカウント停止」「本人確認が必要です」など単純な脅迫 | 緊急性+信頼性を組み合わせた高度な文言(例:本物の配送通知や社内通知を装う) |
攻撃媒体 | 主にメール | メール+SMS、SNSのDM、QRコード、クラウドサービスの共有リンク |
個人情報の窃取方法 | 偽のログインページに入力させる | 中間者攻撃により、二要素認証コードも同時に窃取(例:Evilginx) |
不正サイトの作り込み | デザインが粗く、本物と違和感あり | 正規サイトをコピーした高精度クローン、SSL証明書も利用 |
検知の難易度 | 文面やURLで判別可能であり、比較的容易 | 難易度が高く、セキュリティ知識があっても見抜きにくい |
最新のフィッシング攻撃は従来よりも巧妙で、本物そっくりなので「ユーザーの注意」だけでは限界があります。そのため「個人レベル」と「企業レベル」に分けて対策します。
個人レベルでの対策
メール・SMSの慎重な確認:
二要素認証(MFA)の強化:
パスワード管理:
スマホにおいては、QRコードやショートメッセージにも警戒:
SNSやチャットアプリの注意:
企業における対策
セキュリティ教育・訓練:
技術的な対策:
多要素認証の高度化:
インシデント対応体制:
ブランド保護:
従来のフィッシングは「不自然な部分が多い」ことから見抜きやすい傾向がありましたが、最近はAIや正規サービスの悪用により見分けがつかないほど巧妙化しています。個人では「不用意にリンクをクリックしない」「二要素認証などの認証強化」といった慎重な行動が不可欠です。また、企業では「セキュリティ教育」「技術的防御策」「インシデント対応」の3本柱による包括的な体制が求められます。特に認証コードの窃取を含む高度な攻撃には、FIDO2などによる多要素認証やクラウドサービスの監視が必須となります。
弊社へのお問い合わせは、下記の著者画像横のメールアイコンから